劇「親の顔が見たい」

 名門私立女子中学校で二年生女子生徒が朝方に教室で自殺。その女子生徒が出した何通もの遺書のうち、学校に届いたものに名指しされていた5人の女子生徒の保護者がその日の夕方に学校に呼び出されて集まるところから始まります。
 遺書によれば、生徒は、入っていたはずの「仲良しグループ」にいじめられての自殺とのこと。保護者と先生方、自殺した女子学生が新聞配達していた新聞配達店の店主(実はそうしたバイトは学校では禁止)、最後に自殺した生徒の母親が登場。その間のやり取りで、保護者(親が中心だが一人の生徒だけ祖父母が来る)の異なる職業や生徒との関係もわかってきます。
 重苦しいテーマですが、会議室で飛び交う会話で普段は見えないそれぞれの「顔」が見えてくるし、登場しない生徒たちの「顔」も知ることができ、人間について改めて深く考えることができました。インターミッションなしの1時間45分があっという間に過ぎました。

 作者の畑澤聖悟は、青森県の県立高校教師を務め、高校の演劇部の顧問でもあるそうです。このホームページでも紹介した原爆開発のマンハッタン計画に参加したアメリカ人研究者とそのつれ合いの戦後50年を追った「イノセント・ピープル」も彼の作。
今回の公演は、劇団昴による上演。公演日は、8月14日、一日のみ。 東京都北区のJR王子駅北口の「北とぴあ」2階の「さくらホール」という大きなホールでの上演でした。自由席で前から3列目で見ることができました。

 なお、「新国立劇場演劇研修所」の第8期生(
2012年入所)の初舞台として、この戯曲を取り上げるそうです。演劇研修所については、
http://www.nntt.jac.go.jp/play/training/ 
に案内があります。研修最終年度の3年目ですが、「試演会」と書いてあるので修了公演ではなく、その前段階のようです。

演出 西川信廣(研修所副所長)
95日~10日(5日と8日は午後7時開演、他は午後2時開演)
新国立劇場(京王新線初台駅)
詳しくは http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/140905_005443.html を参照して下さい。