映画「希望の国」

福島原発事故を題材にした映画としてはもっとも早いものではないでしょうか。監督は園子温(その・しおん)。

福島原発事故後で、「長島県」という架空の県での出来事。福島の時と同様に、地震との津波のあとに原発の事故が起こります。福島原発事故のときのように長島第一原発で水素爆発が起こり、半径二十キロ圏内には強制避難命令が下ります。その半径二十キロという境界線が、酪農農家の主人公の小野泰彦(夏八木勲が演じる)の庭を突っ切って引かれ、境界内の近所は強制避難させられます。映画は、残った小野一家と強制退去させられた鈴木一家をめぐって展開します。小野と痴呆症を患う妻智恵子(大谷直子が演じる)は、家に残ります。洋一といずみの息子夫婦は、父の説得で自主避難をします。鈴木家の息子ミツルの恋人ヨーコは、たまたま事故時に鈴木家にいて鈴木家といっしょに避難所に行きます。しかし、彼女は、津波で壊滅した隣町出身で、ミツルと共に隣町に自分の両親を探しに行きます。一方、洋一・いずみ夫婦は避難先で妊娠を知ります。洋一が産婦人科の医師に、本当のところ放射能はどうなのかと問い詰めると、福島のあとに「長島」の事故があって、日本中どこにも安全な場所なんてありませんという医師の台詞が印象的でした。ラストは衝撃的。アンドレイ・タルコフスキー監督の最後の映画「サクリファイス」のラストの場面を思い出させました。

園監督のインタヴューをたまたまテレビで見ましたが、原発事故は地震・津波被害と違い、終りがないので今後も原発事故に関する映画を作り続けたいと言っていました。

公式サイト 
http://www.kibounokuni.jp