ザ・ゲーム - 2001年1月28日


今日はアメリカでは「スーパーサンデー」すなわちスーパーボール(Super Bowl) の日です。アメリカンフットボールの全米の頂点を決める試合です。今年はボルティモア・レイヴンス(Baltimore Ravens) とニューヨーク・ジャイアンツ (New York Giants) がフロリダ州のタンパ(Tampa)で対戦しました。

今日までここしばらく、街中のあらゆるものがこの試合を中心にして動いているようでした。私がいつも聞いているラジオ局は、今日の日曜日のための45インチの大型テレビを賞品にしたクイズのキャンペーンをしていましたし、トークショーのホストは「一緒にスーパーボールを見よう」ディナーパーティーを企画したりします。また先週のテレビのニュースショーにはボルティモア、ニューヨーク両市の市長がチームのユニフォームを着て出演、互いに自分たちのチームの勝利を主張して譲らなかったとか。果たして全米で何人の人がこの試合をテレビで見たのか正確な数字はまだ分かりませんが、「紅白歌合戦」を軽く上回る視聴率だったと思われます。その意味でこれは「国民行事」と言って良いのでしょう。試合を独占中継していた CBS は、昼間から夕方6時(東部時間)に試合の中継が始まるまで、一日中フットボール関係の番組を放送し続けていました。ところで、放送の中でスーパーボール中継の後の番組の予告をするとき(実はその番組は去年全米で大ヒットになった「サヴァイヴァー」(Survivor) の新シリーズだったりするのですが)、「スーパーボールの中継終了後」などと言わず、ただ「ゲーム(試合)の後」(after the Game) と言うのですね。今日誰かが「ゲーム」と言ったらそれはスーパーボールの事なのだな、と思いました。

試合そのものは言ってしまえばいつも通り、普通のアメリカンフットボールの試合なのですが、試合以外の周囲のものがとにかくすごかった。オープニングセレモニーでは、大御所レイ・チャールズ(Ray Charles)が「美しきアメリカ」("America the Beautiful")の歌を歌えば空軍のステルス戦闘機が上空を飛び回るし、続けてアメリカで最も若者に売れている男性グループのひとつバックストリートボーイズ (The Backstreet Boys) が国歌を斉唱すれば今度は空軍の先鋭サンダーバード (The Thunderbirds) が7機編隊を組んで飛来します。そして何百発の花火。ハーフタイムショーではあっという間にステージを作って、なんとやはりベテランのエアロスミス (Aerosmith) とアメリカのSMAP(と言ったら言い過ぎかな?) NSYNC が競演し、他の何人ものシンガーも巻き込んで大ヒット曲"Walk This Way"を歌ったりしていました。またインターネットサイトでは試合中経過の速報をしていただけでなく、最優秀選手の投票を受け付けていたり、またスコアを携帯端末に送信するサービスもしていました。 そう、とにかくあらゆるものが今日は特別だったのですが、その中でもひとつ、特に私が興味を持ったのはコマーシャル(CF)でした。

とにかくアメリカ中のたくさんの人がテレビで今日の試合を見ていると言われていますから、スポンサーの各企業が試合中に流されるコマーシャルに莫大な額を投資して、今日のための特別なコマーシャルを用意しているということは有る意味当然のことです。コンピュータに詳しい人なら、アップルコンピュータがマッキントッシュを発表した伝説の "1984" のコマーシャルを思い出す人も多いと思います。今年も、実に素晴らしくそして印象的なコマーシャルをたくさん見ることができました。その全てを挙げることは残念ながら出来ないのですが(録画しなかったことをとても後悔しています)、中でも私が面白いと感じたは、フォルクスワーゲン、ペプシ、ソニー、そしてバドワイザーなどのコマーシャルでした。また、もう一つ大変印象深かったのは、一連のシリーズとして喫煙の害、特に子供達に対する害を訴えるコマーシャルが何種類も放送されていたことでした。そのどれもが美しく素晴らしい出来で、最後に「考えて。そして吸わないで。」("Think. Don't Smoke.") などのコピーを添えていました。

さて試合の方はどうなったかというと、ニューヨーク・ジャイアンツは、レイヴンス相手にタッチダウンをひとつ決めただけでいいところなし。結局ボルティモア・レイヴンスが 34 対 7 でニューヨークを圧倒しました。でもそれは大した問題では無いのです。大事なことは、この「ザ・ゲーム」が全米の人に(そして私にも)、日曜日の晩4時間すっかり楽しむための良い口実を与えているということなのですから。

"The Game"


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Hiroyuki Umemuro
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