牛乳並にカルシウムが入ってます- 2000年5月30日


上のタイトルは、ある食品の宣伝文句です。アメリカのスーパーマーケットでごく普通に買えるもので、上のコピーはつい最近店でもらった割引券(coupon)で見つけました。この食品は何だと思いますか?正解は「グレープフルーツジュース」です。日本の方は驚いた人が多かったのではないでしょうか。ちょっと思いつかない組み合わせです。でもアメリカの人にしてみれば、あまり不思議に思わないのかも知れません。なぜなら、スーパーに行けば「カルシウム!」とパッケージに書かれた食品はたくさんあります。私は本当の所は知りませんが、おそらく専門家が「子供の成長にカルシウムは欠かせない」とか「現代人の生活に不可欠」とか言ってブームになったあたりは日本と同じなのでしょう。でも「グレープフルーツジュース」で一日の必要カルシウムを摂取できるとは思いませんでした。

別にカルシウムの話に限ったことではありません。私が最初アメリカでスーパーマーケットに行ったときは「どれが『普通』の牛乳だろう?」と悩みました。単に「牛乳(milk)」とラベルに書いてあるものはなくて、代わりに実に様々な種類の「牛乳」があります。低脂肪(low fat)、減脂肪(? reduced fat)、無脂肪スキムミルク(fat free skim)、バターミルク(これは既に所謂牛乳ではないかもしれませんが)、そしてビタミンD入り。結局ビタミンD入りが一番日本で買っている「成分無調整牛乳」に近いらしいということがわかり、以来それを買っています。"Fat Free"(「脂肪を含みません」) や"Low Fat"(「低脂肪」)という文句はアメリカの食品ではごくごく一般的で、ほとんど全ての食品に "Fat Free" バージョンがあるのではないかと思ってしまいます。低脂肪の冷凍スパゲッティ、99% 脂肪をなくしたヨーグルト、脂肪を1/3にしたポテトチップス、そして脂肪が入っていないチーズ???

もう一つ驚いたのが豆腐でした。最初スーパーで豆腐がたくさん売っているのを見たときはとても喜んだのですが、賞味期限を見て驚きました。賞味期限まで1カ月以上もあるのです。「いったいアメリカの豆腐には何が入っているのだろう...?」豆腐に限らず、例えば同じ種類のパンでもあるパッケージのパンはすぐかびてしまうのに別のパッケージのは数週間大丈夫だったりします。アメリカでは家族で週末車で買い物に出かけて、1週間とか2週間分の食べ物を買い込むというスタイルが多いと言うことは知っています。ですから「長持ちする」食べ物が好まれるのでしょう。

こういったことは、いったいどこからくるのでしょう?私の考えですが、アメリカでは食品は手を加えられた物であることが自然で、生鮮野菜などを除けば、加工されたり、何かを加えられたり、おおもとの食材からすっかり変化していることが当たり前と認識されているのではないかと思います。これは日本と対照的ですね。もちろん日本にも加工食品はたくさんありますが、一方で食材そのもののおいしさをいかに届けるかに大きな努力がなされているように思います。例えば、農家の人や小売業の人は、いかに搾りたての新鮮な牛乳の味を食卓に届けるかに大変な努力をしていますよね。殺菌を最小限にしてみたり温度をかえてみたり、すばらしく速い物流システムを構築したり、さらには牛の餌にも大変な注意を払っていると聞きます。今でも豆腐は毎朝作られ、豆腐屋で直接販売されたり、あるいはその日のうちにスーパーなどに納品されて作ったその日の晩には食卓に並ぶような体制になっていると伺っています。よい大豆と水を選ぶことが豆腐の品質に決定的な影響を持つと言われています。

このような国の違いが出てくる背景には、多くの要因があると思います。高速な物流システムは狭い国だから可能なのかもしれません。もちろん食べ物や食に関する文化的な違いも大きいでしょう。そしてこの食品加工に対する態度の違いが、実は今日の日米の遺伝子組み換え食品への市場の受け入れ態度の違いのひとつの背景になっているのではないかと思っています。

なお、写真のグレープフルーツジュースは「カルシウム入り」ではありません。念のため。

Juice, Milk and Tofu


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Hiroyuki Umemuro
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