野球を観よう - 2000年7月17日


アメリカ大リーグ野球の試合のチケットがとっくに売り切れだという話は以前にもしましたが、実は一方でチケットを流通する手段もいろいろとあるようです。最近では eBayYahoo! オークション などインターネットオークションもその重要な流通経路の一つの様で、おそらくチケットを押さえたは良いけど行けなくなったなどの理由によるのでしょう、2枚、4枚と個人からの売り物が出ています。そう言った中から、昨日の日曜日の、クリーブランド・インディアンズヒューストン・アストロズの試合のチケットを入手することが出来たので、クリーブランドのジェイコブズ・フィールド球場(Jacobs Field)に出かけてきました。

日曜日の午後1時過ぎの試合開始。天気は快晴(少なくとも試合開始までは)。まさにピクニック気分です。クリーブランドダウンタウンの駐車場に車を停め、歩いて球場に近づくにつれ、交差点を通過するたびに左右から人が流れ込んできて、いつの間にか人混みの真ん中を歩いています。しかもみなインディアンズカラーの紺と赤の帽子やシャツに身を包んでいて、いやが上にも気分は盛り上がります。そして、この球場が実に良くできているなと思ったのは、周囲を完全にスタンドが包んでいるのではなく、外野席の端の方などスタンドが途切れていて、道路から中のスタンドの様子や電光掲示板が見えるんですね。ですから入り口に差し掛かったときにはもうスタンドが間近に見えて場内の興奮がこちらにまで届いてもうドキドキです。(しかもさらにうまくできているのは、グランドは道路よりも低く出来ているので、ぎりぎり、グラウンド内のプレーは見えないのです。あとはもう入るしかない、ということですね。)

試合開始前からがんがんに流されていたロック音楽がやみ、球場内の全員が立ち上がって、女性歌手を迎えます。静まり返った球場に響く無伴奏のきれいな独唱で、アメリカ国歌を、たっぷり感情をこめて歌い上げます。観客は皆球場バックスクリーン横にある大きな星条旗に向かって立ち、身動きする人は居ません。そして歌が終わり、会場中が盛大な拍手に包まれ(実際本当に感動的な歌でした)、いよいよプレイボールです。

表の攻撃のアストロズのバッターの紹介が無味乾燥なのに比べ、裏のインディアンズのバッターの紹介がやたらに派手派手しくてテーマ音楽までかかったりしておかしかったのですが、全体的に見て、試合が静かだな、と感じました。もちろん、チェンジの間には音楽がかかったり、天気予報まで流れたり、7回には「セブン・イニング・ストレッチ」(いい加減皆疲れた頃立ち上がって体を伸ばしたり、音楽に合わせて踊ったりする)やおきまりの「Take me out to the ball game」をみんなで歌ったりと、観客を飽きさせないための工夫がふんだんになされていました。が、試合中は、日本で見られるような応援らしい応援はなし。一人、太鼓を叩くおじさんがいて、インディアンズの攻撃時に時折思い出したように叩き初め、みなそれにあわせて手拍子をするというのがありましたが、相手のピッチャーが投球モーションに入ったら太鼓もぴたっとやみます。そして皆ピッチャーが投げてからキャッチャーのミットに入るまでをじっと見つめるのです。そして三振したら一斉にため息が出るし、打てば一斉に歓声が上がります。そう言えば、バックスクリーンの大画面も、バッターがバッターボックスに入るまでは顔の表情や動きを追って映し出しますが、バッターボックスに入ってからは普通の写真と名前の静止画に変わります。ですから、そこまでスクリーンを見ていた人もそこからは遠くのバッターボックスに目を移し、全員がホームベースに集中するのです。日本式とアメリカ式とどちらが良いとは言いませんが、長嶋監督が「野球を観て欲しい」と言っていたのはこれのことなんだな、と思いました。

試合そのものは、インディアンズは、ホームグラウンドでえこひいきと言えるほどの応援をされていたにもかかわらず、良いところなし。アストロズに5対1の大差を付けられて、おまけに8回くらいからは雨がぽつぽつ降ってきたので、さすがのクリーブランドのインディアンズファンもぽつぽつと帰り始めてしまいました。まあ映画になるほど「弱い」インディアンズですからこれが本来の姿かもしれませんが、バックスクリーンにはチームの旗とともに昨年の中部リーグのチャンピオンの旗が立っていたような気もするなあ... いずれにしろ、試合後に近所のレストランやバーになだれ込んでビールを酌み交わすクリーブランドっ子に、よい酒の肴を提供していることには変わりないのかもしれません。


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Hiroyuki Umemuro
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