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GPIFの「2020年度ESG活動報告」に井上光太郎教授、日高航大学院生(研究当時:井上研究室 M2)らの研究成果が取り上げられました。

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2021.08.25

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「2020年度ESG活動報告」表紙

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
「2020年度ESG活動報告」

ファイナンスとコーポレート・ガバナンスに関する研究を行っている井上光太郎研究室の井上光太郎教授(経営工学コース 主担当)、日高航大学院生(研究当時)と日本大学の池田直史准教授(研究当時:東工大工学院経営工学系助教(井上研究室))らの研究成果「機関投資家によるエンゲージメントの動機および効果」が世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の「2020年度 ESG活動報告」において、投資先企業の環境負荷の軽減(=E)、社会との良好な関係構築(=S)、ガバナンス強化(=G)の3側面を促進するESG投資で重要視される投資家と投資先企業の間の合意形成(=エンゲージメント)の効果を実証的に示す注目すべき研究成果として大きく取り上げられました。

 論文要旨

筆者たちは、大手機関投資家3社からエンゲージメント活動(投資先企業との対話と交渉)の情報提供を受け、通常は観察できないエンゲージメント活動に関する機関投資家側の動機、エンゲージメントの内容と効果を直接検証している。2017年の改訂スチュワードシップコードにより機関投資家にとってモニタリングに関するコスト・ベネフィットが大きく変化し、本格的エンゲージメントが開始されたタイミングを活かし、2017年から2019年の期間ののべ3千回以上のエンゲージメントを分析対象とした。主要な結果としては、各機関投資家は自らの株式保有比率が高く、かつガバナンス体制に問題がある企業に対してエンゲージメント活動を行っている。エンゲージメントにより、その対象企業では社外独立取締役比率と役員持株比率が上昇する一方で、政策保有株比率が減少し、買収防衛策が廃止されるなどガバナンスの改善が確認できた。またエンゲージメント先企業では、ROEまたはTobin's Qの上昇が観測された。これらの結果は、機関投資家のエンゲージメントは投資先企業のガバナンスと機関投資家の投資パフォーマンスを共に改善しており、企業の効率性改善に資する行動と評価できる。

  • 論文情報
掲載サイト: RIETIディスカッション・ペーパー 2021年7月 21-J-036別窓
発行元: 独立行政法人経済産業研究所(RIETI)
論文タイトル: 機関投資家によるエンゲージメントの動機および効果
執筆者: 日高 航 (東京工業大学)、池田 直史 (日本大学)、井上 光太郎 (東京工業大学)

お問い合わせ先

東京工業大学 工学院 経営工学系

教授 井上 光太郎

E-mail : inoue.k.aq@m.titech.ac.jp

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